このホームページをご覧のみなさまへ

 埼玉県立豊岡高等学校のホームページをおたずねくださいましてありがとうございます。

 本校は、一世紀にわたって地域の期待を背負い、地域に根差した高校として、入間地区を中心とする地域社会の発展に寄与する人材を輩出してまいりました。

 本校は1920(大正9)年に豊岡町と近隣村による学校組合立豊岡農学校として設立され、豊岡実業学校、県立へ移管後豊岡実業高等学校となり、1964(昭和39)年に全日制普通科・定時制普通科併設の豊岡高等学校となりました。定時制は2011(平成23)年までの47年にわたり教育活動を展開してまいりましたが、1307名の卒業生をもって閉課程となり、現在は全日制のみを置いています。

 2013(平成25)年には、県立入間高等学校と統合、単位制・普通科高校として新たに出発し、「大学進学重視型」単位制高校として現在に至っております。2020(令和2)年に創立百周年を迎えました。卒業生数も2万5千名を数えています。(令和3年3月現在)

 新たな百年に向けて歩みだした豊岡高等学校に一層のご支援をお願い申し上げます。

中学生のみなさんへ

 

「地域に根ざし豊かな人間性を培う進学校」

 これが本校の目指す学校像です。

 本校は1920年(大正9年)に豊岡農学校として設立され、豊岡実業高校などを経て2020年(令和2年)に創立百周年を迎えました。一世紀にわたり地域社会の発展に寄与する人材を輩出してまいりました。

 私から見た豊岡高校は、人柄が良く穏やかな生徒、生徒を温かく見守る先生。そして、折りにふれ快く御協力いただける保護者の方々、100年の歴史の厚みとともに各界で活躍する卒業生の方々。本校は、本当に恵まれた環境の中にあると実感しています。

 豊岡高校は「大学進学重視型単位制」をとり、何かをやりたい、勉強したいという期待に応えます。授業とは別に「豊高ゼミ」「進学補講」「朝テスト」などの舞台装置も利用して実力養成をはかります。自習コーナー、英検チャレンジ、充実した図書館、専任のカウンセラーによる相談体制なども大いに活用してください。

 もちろん、勉強だけではありません。生徒は文化祭や体育祭などの学校行事や生徒会活動、部活動などに積極的に取り組んでおり、学業とみごとに両立させています。 

 豊岡高校での生活を謳歌した生徒たちは、今春も国公立大学をはじめ難関大学に合格し、卒業していきました。これからも、目標に向けてひた走る、智勇兼備の骨太な若人を育ててまいります。

 興味を持った学問、部活動をはじめ多彩なスポーツ、芸術などを足掛かりに脳に大いに汗をかき、足腰を鍛える高校生活を楽しんでください。みなさんと豊岡高校でお会いできることを楽しみにしています。 

   令和4年4月

        埼玉県立豊岡高等学校長 内田 正俊

校長 内田 正俊
豊高校長室だより

豊高校長室だより

2023/3/22(水) 令和4年度3学期終業式での校長あいさつ「情報発信の責任と危険性」

 今回は体育館での終業式となりました。大きな事故もなく年度末を迎えられたことを喜びたいと思います。

 さて、年度の締めくくりに、情報発信の危険性について念を押しておきます。SNSは多くの人が目にするツールで、発信内容は個人の人柄や価値観を映し出します。そのため発信内容には細心の注意を払わなければなりません。

 社会人でも来店した客の名や、新製品のパッケージが写りこんだ写真を公開してしまったという事故もありました。従業員がプライベートで気軽に撮影した写真にも、本来は秘密にするべき業務の内容を漏らしてしまう結果になるとうけ狙いだったとかノリだったではすまされません。個人の何気ない発言でも、インターネット上の発言やふるまいは、多くの人の目に触れる可能性があり、場合によっては、現実世界に大きな影響を与えることがあります。会社をひっくり返し、関係者を自殺に追い込み、何百人もの従業員を路頭に迷わせることすらあります。

 2013年ごろからアルバイトの従業員が勤務先の商品(特に食品)や什器(じゅうき=冷蔵庫や陳列棚などの設備や家具のこと)を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影しSNSに投稿したことにより、会社が対応を求められたり謝罪に追い込まれたりする例がありました。最近特に飲食店での客による悪ふざけを拡散し、炎上する例が多いと聞きます。調味料びんをなめる、売り物を傷つける、非常ベルを鳴らすなど、客による迷惑行為が明るみに出て逮捕者も出ています。危険な動画投稿に走る例が後を絶ちません。お金を払っている、客なら何をしても許されるはずもなく、軽はずみな行為をした者が責任を負うのは当然ですが、その代償は一人で抱えるにはあまりにも重いものになってしまいます。

 最近では、テレビなどマスメディアの報道のきっかけが視聴者の投稿やSNSになっていることも多く、結果としてマスコミがさらに炎上をあおるケースも珍しくありません。公開された写真や動画に、位置情報や過去投稿など紐づけて個人を特定することを好む人も一定数存在します。対象となった個人の特定・暴露や、顔写真が出回り、経歴がさらされる。(法的にはこのような個人情報をさらす行為自体も違法な可能性は大いにあります。)たとえ顔を隠していたとしても、誰が動画を投稿したのか、本人特定が容易に行われてしまいます。

 さらされて拡散したデータは「デジタルタトゥー」として半永久に残ります。一度ネット上に拡散された内容は完全に削除することがほぼ不可能なことを、完全には消すのが難しいタトゥー(入れ墨)の性質に例えた表現です。

 インターネットは匿名の空間ではなく、ネット上の行動は特定されてしまうものだと自覚することが必要です。2013年の「バイトテロ」の事件では、10年たったいまでも「彼が通っていた大学や、その後の就職についても足どりを辿ってみた」というサイトも少し検索するだけで見つかります。(くりかえしますが、このような「さらし」行為は違法な可能性が高いです。)

 動画などの投稿は「凶器」になりうるものです。他人のほか、自分の人生までずたずたにするだけの破壊力を持ちます。いったん世の中に放たれた凶器はコントロールできません。まずはネット上での発信内容が、本来秘密にすべき事項を含んでいないか、現実世界でも非難を浴びるようなことはないか、現実の本人を前にして声を大にして言える内容かなど、毎回立ち止まって考える慎重さが必要です。

 4月には新入生も入ってきます。上級生として胸を張れる行動をお願いします。始業式がみなさんそろって迎えられることを楽しみにしています。

体育館への通路から見た「しだれ桜」

(体育館通路から見た「しだれ桜」3月22日)

0

2023/3/11(土) 豊岡高校75期生に向けて、卒業式での校長式辞です

 近年にはめずらしい、冬らしい冬でしたが、確かに春の訪れを感じる陽気となりました。このよき日に、保護者のみなさまと御一緒に豊岡高等学校75期310名の卒業をお祝いできることを喜びたいと思います。みなさんは、入学式の翌日から休校となるなど、かなりの部分で制限つきの不自由な生活を余儀なくされました。厳しい環境に耐え努力する姿には、逆にこちらが励まされてきました。

 ことしは卯年ですが、一回り前の卯年きょう3月11日、東日本大震災が起きました。全国で約二万人が命を落とし、今なお2500人もの行方が分かっていません。埼玉県にも被害が出て、卒業式ができない学校もありました。1400名もの福島県双葉町の方々が加須市の旧騎西高校に避難、長い人は三年もの避難生活を送られました。当時の高校生はまもなく30歳になりますが、埼玉の高校生もボランティア活動をはじめできるだけのことをしました。12年たった今でも加須市には双葉町役場埼玉支所が残され住民の支援にあたっています。被災された方々へ思いをいたしたいと思います。

 さて、この機会に、「判断と決断」について考えたいと思います。

 日本人は感情に流されやすく、論理的に考えるのが苦手だ、といわれることがあります。

 ひとつの例です。苺、大根、バナナ、ジャガイモ、スイカがあるとします。二つのグループに分けるとすると、あなたはどのように分けますか?

 Aを【苺】【スイカ】【バナナ】、Bを【大根】【ジャガイモ】と分けるとします。理由は、Aは地上で育つ、Bは土の中で育つ、です。分け方はこれだけではありません。根拠を示すことができればほかの分け方でもよいのです。表記されている文字がカタカナか漢字かでも分けられます。野菜か果物かという分け方も考えられますが、その前に「野菜」とは何かを決めておく必要があります。論理的に考えるためには、枠組みを決め、限定する必要があります。苺、スイカ、バナナは果物だと思うでしょうが、栽培方法に注目するとイチゴやスイカは野菜に分類されるそうです。どの組み合わせでグループに分けたかより、何を根拠にして判断し、分けたかが大事なのです。

 このように、論理は見方や枠組みによって変わる、つまり論理そのものがどんな場合にも通用する普遍的なものでないことをまずおさえておきたいと思います。

 はじめに「日本人は」と言いましたが、そもそも日本人とはどういう人を指すのでしょうか?

 考え、判断するためには枠組みを決める必要があります。枠組みに入るのは誰で、誰が排除されるのでしょうか。それをせずに意見を聞いたところで何となく感じるという以上のものは出てきません。「日本で生まれた」「日本語が話せる」「日本文化に詳しい」「日本国籍がある」…。見方によって、どのように枠組みを設定するかによって、「感情に流されやすい」「論理的思考が苦手」という結論が導けない場合も予想できます。「論理」が普遍的なものでない以上、論理を組み立てる力、論理的に考える力もまた普遍的ではないことになります。

 論理的に考え判断した結果、異なる行動をすることがあります。どの枠組みを選ぶかは「判断」ですが、そのうえで実際にやるかやらないかを決めるのは「決断」です。だから決断は「いい」「悪い」を超えたところにありますし、逃げることも、誰かに代わってもらうこともできません。責任も自分で背負うしかないのです。

 「本当の自分を探す」という人がいますが、「探す」という以上、「どこかにあるはず」という見方に立っています。しかし、本当の自分などありません。あるときには優しい面もあり、ある環境では醜い面もあるというように、その時その時でころころ変わるのが「自分」のはずです。いろいろな自分を受け入れ、その前提に立って決断していかなくてはならないのです。

 これから、みなさんは決断の連続の中で生きることになります。多くの枠組みを使いこなしながらも、自分の問題として決断することが必要です。

 「つら(辛)い」という漢字の上の部分に一本の横棒を加えると「幸せ」という字になります。見方を変えれば簡単に枠組みは変わることを知っておくといいと思います。

 保護者のみなさまには本日のお慶びとともに、これまで本校にお寄せいただいた御厚情に感謝申し上げます。今後も、時代に立ち向かい、自ら考えて行動できる人物を育てるという期待に応え、教職員一丸となって卒業生や生徒にとって心のよりどころと誇れる学校づくりに努めてまいります。

 75期生の前途が健やかで幸多きことをお祈りし式辞といたします。

  令和5年3月11日              埼玉県立豊岡高等学校長 内田 正俊

0

【豊高校長室だより】2023/2/22(水)受験生の皆さんにエール!!

 2月22日(水)は埼玉県公立高校の学力検査の日です。きょう出勤する際、駅や電車内で「きょうは埼玉県公立高校の入学試験日」「受験生のみなさん、最後まで頑張ってください」「お客様も安心安全な車内環境に協力を」などのアナウンスを繰り返し聞きました。入間市駅をはじめ各駅ではホームに警備の係員さんがでていたりと、いろいろな人々が受験生を応援してくださっていることを実感しました。ありがたいことです。各学校でも快適に受験してもらえるよう心を配ってきました。受験生のみなさん、頑張ってください!

0

2023/2/10(金) 【豊高校長室だより】雪のため日程を変更しました

 2月10日(金)、朝から雪になりました。本日は生徒の安全を考え、短縮45分6時間授業(7時限のLHRは中止)とし、14時50分放課とします。交通機関の支障も予想されるので、とくに足元に気をつけてすみやかに帰宅してください。
 写真はきょう午前11時すぎ、校長室から見える梅の花(昨年12月23日に梅が咲き始めたことを紹介しました)が雪化粧しています。

12月23日に紹介した梅の花です

0

2023/2/3(金) 豊高校内駅伝大会で、校長はこんな話をしました

【開会式で、こんなあいさつをしました。】

 3年ぶりの駅伝大会が開催できることを喜びたいと思います。朝早くから準備に当たってくださった体育委員、陸上部のみなさんはじめ関係のみなさまにまず御礼申し上げます。

 駅伝シーズンまっただ中です。先日1月29日(日)には飯能市で奥むさし駅伝競走大会が行われましたし、正月には大学、都道府県対抗をはじめあちこちで駅伝大会が行われています。

 駅伝チームというと、走りたい思いを持つ人から、本格的に走り込んでいるランナーが選ばれてチームを編成し出場するわけですが、学校行事としての駅伝では、走るためでなくつくられた「クラス」という集団がチームとなります。当然、いろいろと弱点があります。その弱点をカバーし合いながらひたむきにゴールを目指すところに魅力があるのだと思います。

 コロナの感染拡大防止のため、保護者の方々の応援はご遠慮いただきたいとのことで、残念です。選手のみなさんには、同じチームの仲間との絆や声援を走る力にかえ、クラスや部活などのふだんの関係を超えた交流を深めてもらいたいと思います。気持ちのよい応援も期待しています。

 駅伝大会の開催にあたり企画、運営、指導に当たる先生方、公園事務所をはじめご尽力いただきました関係各位に深く感謝申し上げます。けがのないよう、そして公園を利用している方々にできるだけ迷惑をかけないよう力を尽くしてください。選手のみなさんの健闘を期待し、あいさつとします。

 

【閉会式で、こんな講評をしました。】

 おつかれさまでした。駅伝の部で入賞したクラスの選手一人一人に栄えあるメダルがかけられました。おめでとうございます。走り終えた後の輝くような顔と心のこもった応援が印象に残りました。

 さて、中継所で出発を待つ間、どんな気持ちだったでしょうか。

 ロードレースも駅伝も、会場では全体が見えません。沿道で応援しても選手はすぐに走り去ってしまいます。競技中にデットヒートやドラマが展開されても、「たまたま」見ることができるだけです。切り取られた「フレーム」を見ている点で、テレビなどの中継と同じです。全容はすべてが終わった後、ようやく少しずつ出てくる感じで、このあたりが会場で同時にドラマを共有できるほかの競技と異なるところだと思います。

 トラックと異なり、自分にたすきをつないでくれる選手が見えないのは不安ですね。他チームが次々とたすきを渡してスタートしているのに仲間が来ない不安。たすきを受け取った瞬間、前走選手に感じた不安が信頼に変わると同時に「次のランナーに渡さなきゃ!」という責任からエンジン全開、アドレナリン全開で、夢中で走るうちに次の選手にたすきを渡す感じでしょうか。

 選手を応援しながら走路をまわりました。声をかけると「ありがとうございます!」と笑顔を返してくれる選手もいました。この公園を利用中の方からたくさん声をかけていただきました。豊高の卒業生だとおっしゃる方もいました。いろいろな方々からお心を寄せていただき、温かく見守っていただいていることを改めて感じました。

 駅伝大会の開催にあたりご協力いただきました各方面の方々に深く感謝申し上げます。選手のみなさんの健闘をたたえ、あいさつとします。

0

【豊高校長室だより】2023/2/2(木)人を不安にさせる付きまといを許さない「埼玉県迷惑行為防止条例」の施行

 ことし1月18日から、改正された埼玉県迷惑行為防止条例が施行されています。ストーカー規制法の改正を受けて、「付きまとい」や「ストーカー」行為を規制するための改正とのことです。

 付きまといにもいろいろあって、恋愛感情によるものはストーカー規制法で、恨みや嫌がらせなどによる場合この条例により処罰の対象になるということです。

 今回の条例改正により、付きまといなどの行為は「通常いる場所」に加えて「実際にいる場所」でも禁止され、通学途中での待ち伏せなどが処罰の対象に加わりました。また、拒まれたにもかかわらず「連続して」(何度も)電話やファクス、電子メールなど文書を送りつける行為、相手にわからないようにGPSなどを使って位置情報を手に入れる行為などが処罰の対象になりました。違反した場合の罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となっています。

0

【豊高校長室だより】2023/1/23(月) 現役受験生は最後まで伸びる

 共通テストから1週間、自己採点データも返却され、このまま行くか、変えるか迷っている人もいそうです。きょうも「出願締め切り間近なので大至急調査書を発行してほしい」との申請がありました。もちろん対応します。

 この時期、現役受験生の学力は日に日に大きく向上しているはずです。進路の山田先生が事あるごとに強調していますが、模試でE判定だったからと言ってあきらめてはもったいない。模試でE判定だった人がたくさん合格しています。

 「合格可能性20%」と言われると落ち込んでしまいそうですが、2割は合格、その2割に入ってやれと自身を信じラストスパートをかけましょう。数学の「正規分布曲線」ではありませんが、受験生の山が集中したあたりに合格ラインが来るはずです。合格可能性100%から0まで等間隔で並ぶわけではありません。100から低い確率まで「山」にあるはず。確率は低く見えるかもしれませんが得点差はわずかなはずです。補講で接した生徒には補欠ですべりこんだ(?)人もいました。多少点数が低くても挽回できることもあります。最後まであきらめないことは大事ですよ。

 模試はあくまで「模擬」です。ほんものをまねたものにすぎません。志望校の入試当日に照準を合わせて追い込みをかけましょう。頑張りに期待しています。

0

2023/1/10(火) 3学期始業式での校長あいさつ「自分で考えて動くと目標のほうから近づいてくる」

 令和5(2023)年、あらたまの春を清らかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

 新しいカレンダーや日記帳を前にすがすがしい気持ちになった人も多いと思います。ことしはまた、グレゴリオ暦に切り替わって150年という節目でもあります。国立公文書館の「公文書にみる日本のあゆみ」というサイトによれば、太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書(しょうしょ)に「1年を365日12か月に分かち、4年に一度うるう年をおく、時刻についてもそれまで昼夜の長短によって12時に分けてきたものを、均等に24時に分け、子の刻から午の刻まで12に分け午前何時(午後も同様)と言う、諸祭典は旧暦の月日の新暦月日に相当して行う」という意味のことが書かれているのを確認できます。この詔書は現に旧暦を使っているところで出されましたので、十二支で時刻を示しています。

 具体的には旧暦明治5年12月を2日で打ち切り、次の日を明治6(1873)年1月1日としました。国際基準に合わせるためとはいえ、命令が出た11月9日の1か月後には次の年が始まっているという話で人々も驚いたでしょうが、当時の日本社会が世界に追いつけとあせっていたことを裏付けるようです。

 熊谷のデパート八木橋に宮地さんというカリスマ社員がいます。熊谷の夏の暑さを逆手に取りデパート正面に「あついぞ!熊谷」という大温度計を仕掛けたことでも知られています。この人は2002年に来日したビートルズのポールマッカトニーから直接サインをもらうのに成功した逸話から「人と違うアプローチをすれば道は開け、ちょっとした違和感が人の関心を引くことを学びました」(毎日新聞・2023年1月6日)と言います。サインをもらおうと多くのファンはホテルで出待ちをしていましたが、この人は移動する車のルートを検討し、信号待ちで車が止まるところを狙ったというのです。目標を絞って、そのためにどうするのがよいか考え、アプローチすると、目標のほうから近づいてくるという話で、趣味や特技も世の中を渡るためのステータスになると思います。

 他人と違うアプローチで成功したというと、個性とは他の人と違う行動を取ることだと勘違いする人もいるかもしれません。他人と違う行動をとって安心するというのは、常に他人と自分を比べている点で、同調しまわりと同じ行動をして安心する人と何ら変わらないことだと念を押しておきたいと思います。

 冬休みも多くの進学補講が行われ、私も共通テスト向けの講座を担当しましたが、3年次生に限らず頑張っている生徒をあちこちに見ました。共通テストまであと4日、これまでの努力が実り希望進路の門戸を開くよう期待しています。3年次生に限りませんが、まずは健康第一。体調を万全に保ち、逆風を含めて学校生活を楽しみましょう。

 きょうも各クラス用に新聞が届いています。地元の新聞販売店様の御厚意により読売、朝日、毎日、産経の各紙を毎朝届けていただいています。ありがたいことです。ぜひ活用し、広い視野を身につけてください。

 また、PTA・後援会のご支援により、校内の各階のトイレ個室16室がウォシュレットつきに改修され、12月28日からより快適に使用できるようになりました。PTA・後援会のみなさま、ありがとうございます。

0

2学期終業式での校長あいさつ「表現者が込めたメッセージ」に思いを

 コロナの第8波とみられる感染拡大が続いています。先週13日朝には生徒の陽性者が28名、体調不良者が116名となってしまい「学校閉鎖」の措置を取りました。ご心配をかけましたが、県内でも9月以降の学校閉鎖は初めてとのことで、その後も学校閉鎖までは聞いていませんから、本当に大変なことなわけです。きょうも1クラス学級閉鎖中です。

 年末年始は行動制限なしとは言うものの、感染がさらに拡大しないかと心配です。このあと保健室の先生からお話がありますが、各自、考えられる予防策を続け、感染が広がらないよう協力してください。

 さて、漢検協会が毎年発表する「今年の漢字」は「戦」だそうです。コロナ、電力など生活に身近な戦いも続きますが、ウクライナのほかシリア、トルコ、イエメン、リビア、ソマリア、ナイジェリアなど、世界中で想像を超える戦闘状態が長期間続いています。破壊や悲惨な状態が長引いているのを見聞きするにつけ、人間を残酷にする戦争に対して怒りがわきます。

 先日、「ラーゲリより愛をこめて」という映画を見ました。ラーゲリというのはロシア語でキャンプを意味し、体制に反抗する者を強制的に収容する場所です。第二次世界大戦敗戦後、中国旧満州に残された日本兵が捕虜としてシベリアのラーゲリに送られます。山本幡男さんという実在の人物がモデルの「収容所から来た遺書」(辺見じゅん著・写真)が原作です。自由を奪われ、精神がおかしくなる人や、過酷な強制労働、暴力など目をそむけたくなることも描かれます。冬はマイナス40度になるシベリアで、二宮和也さん扮する山本が「望みはある。最後まで生きる。」と仲間に生きる希望を説き続けるというストーリーです。ちなみに、彼の帰りを待つ妻のモジミさんは島根県の松江で小学校の教師になりますが、その後大宮に転居し、大宮ろう学校(現・特別支援学校大宮ろう学園)の教師となったと同書にあります。

 日本では年の瀬の風物詩となっている観があるベートーヴェンの交響曲「第九」を聞いたことがあるかと思います。作曲された19世紀はじめにはヨーロッパやアジアで戦争が続き、伝染病も蔓延し多くの人が命を落とします。貴族から奴隷まで身分階級の分断も激しかったはずで、なんとなく現在に重なります。

 日本で最初に「第九」が演奏されたのは、初演から百年近くあとの1918年、会場もホールではなく徳島県のドイツ兵捕虜収容所でした。映画のラーゲリのイメージとは異なり、当時ここでは捕虜に一定の自由を認め人間的な扱いをしていたようで、音楽もかなり自由に演奏できたようです。住民との交流もあり酪農やパン・ケーキ・ハム・ベーコン製造など、ここで伝えられた技術がいくつも残っています。

 「非日常のものだ」と思っている戦争は、簡単に日常を侵す可能性があります。こんにちの戦争の状態を考えるとき、一人の、あるいは少数の政治家の決断がどれだけの自国と他国の人々の生活を変え、当事国だけでなく世界中を不幸にしてゆくかがわかると思います。「第九」は平和と人類への愛、友情をテーマにしています。合唱とともに演奏される第4楽章の「歓び」は、「互いに抱き合おう」と繰り返されます。

 映画や演奏に限りませんが、表現者は受け手へのメッセージも乗せているはずで、込められたメッセージに改めて思いをいたしたいと思います。

 それではよいお年をお迎えください。

収容所から来た遺書

0

【豊高校長室だより】2022/12/8(木) 希望の高校には「学習しなければならない環境」がありますか?

 先日、入間市内中学校の校長先生とお話する機会がありました。この時期校長先生による面接練習や、2学期の成績をもとに進路について最終決定に向けての相談が行われているとうかがいました。

 高校を選ぶにあたり、卒業後どの道に進むかも考えておく必要があると思います。とすれば志望校には「学習しなければならない環境があるか」を見る必要がありそうです。どんな環境でも学習に集中できるという人や時間管理がうまい人なら、どの高校を選んでも卒業後は心配ないでしょう。もしそうでない場合、どれだけ学習させてくれるのか(学習しなければならない環境になっているか)によって、その後の成果が大きく変わるはずです。

 素晴らしい設備は魅力的ですが、生徒に使う習慣が身についていなければ意味がありません。豪華で素晴らしい設備があることよりも、必要な学習時間をしっかり確保できるかどうかのほうが大事だと思います。「学習は量よりも質だ」という意見も聞きますが、質を問う前に相当程度の学習量(時間)が必要です。とすれば、環境に流されてしまうかもという人は、学習させてくれる(学習しなければならない)環境を積極的に選ぶのはアリだと思います。

0